寒さが深まるこの季節は、どうしても外に出る機会が減り、家の中で過ごす時間が増えます。その分スマホを見る時間も長くなり、クリスマスや年末年始に向けた”買わせる空気”が一気に押し寄せてくる時期でもあります。ボーナスを見込んだ華やかな広告、期間限定のセール、ポイント還元の大きな文字・・。この時期のメディアの見せ方は本当に巧みで、気づけば『自分へのご褒美にいいかも』『今買わなきゃ損かも』と、欲しい気持ちが大きく膨らんでしまいがちです。そして、年末の高揚感に背中を押されるように、予定外の”衝動買い”へとつながってしまう事もあります。
でも、それはあなたのせいではありません。冬は誰でも、脳も心も”ちょっとした満足”を求めやすく、さらにメディアの仕掛けが重なることで判断がゆらぎやすくなる季節だからです。大切なのは、買わないように自分を締め付けることではなく、自分を上手に満たしながら冬を乗り切る方法を知っておくこと。マイルールを作ったり、春の楽しみを仕込んだりすることで、流されそうな気持ちに優しくブレーキがかかります。
この記事では、なぜ冬は後悔買いが増えるのか、衝動に振り回されずに過ごすヒント、そして来年をもっと軽やかに迎える工夫をまとめました。
冬は後悔買いが起きやすい理由

冬は、クリスマス・年末年始・ボーナスに合わせた華やかな広告が一気に流れ始めます。きらびやかなディスプレイ。SNSでは”買って良かったもの””今年のベストバイ”が毎日のようにシェアされる。この時期のメディアの見せ方は本当に巧みで、『欲しいと思わせる仕掛け』が至る所に散りばめられています。
・ボーナスの時期=財布のヒモがゆるむ
・季節行事で気分が高まり、判断力も甘くなる
・”今買わなきゃ損”という言葉に弱くなる
・ポイントやクーポンで”お得感”を演出される
こうした複数の要素が重なることで、普段なら冷静に考えられる買い物も、この時期はつい”勢い”で決めてしまいやすくなります。さらに、冬は日照不足でセロトニンが減り、心が落ち込みやすいという側面もあります。気分を手っ取り早く上げるために、脳が『買う』という行動で満足を補おうとするのです。
つまり冬の後悔買いは、意志が弱いからでも、計画性がないからでもありません。季節の影響と、巧みに仕組まれた”買わせる空気”の中で、誰にでも起こりやすい自然な反応なのです。
脳と心が求めるものを理解する
冬に後悔買いが増える背景には、季節によって変化する脳と心の働きが深く関係しています。まず知っておきたいのは、『人は寒くなると、行動のハードルが上がる』ということ。寒さや暗さは、脳に”エネルギーを節約しよう”という信号を送ります。その結果、行動量が落ち、気分も沈みやすくなります。こうした状態では、脳は”少ないエネルギーで気分が上がるもの”を探し始めます。その最も手軽な方法が『買う』という行動です。
・ワンクリックで完了する
・手に入れた瞬間に快感物質(ドーパミン)が出る
・小さな達成感が味わえる
・寂しさ、不安、疲れの穴を一時的に埋めてくれる
買い物は脳にとっても効率のいい”気分転換”なのですね。さらに、SNSで他の人の買い物を見ると、脳は『自分もこれで満たされるかも』と錯覚します。これも冬特有の”衝動”を後押しする要因になります。
ここで大切なのは、『冬の衝動買いは、脳と心が助けを求めたサインでもある』ということです。寂しさや疲れを誤魔化すために買ってしまうのは、誰にでも起きる自然な反応。自分を責めるのではなく、『今心がちょっと疲れているのかもしれない』と気づくきっかけにしてあげることが大切です。そのうえで、後悔につながらない形で自分を満たしてあげる方法を選べば、ムダ遣いも自然と減っていきます。
完全に我慢しないためのマイルール
後悔買いを防ぐうえで大事なのは、『買わない』と強く決めすぎないこと。実はこれが、50代の女性ほど衝動買いの反動を招きやすいポイントでもあります。人は我慢を続けると、脳がストレスを感じます。そしてそのストレスは、いつか大きな反動として現れます。特に冬のように気分が落ち込みやすい時期は、余計に”爆買い”が起こりやすくなるのです。
だからこそ、自分を守るための”ゆるいマイルール”を作っておくと、心がとてもラクになります。
1万円以内なら自由に使ってOKというルール
衝動買いしたいという気持ちを完全に封じ込めず、”小さく満たす”ことでブレーキが効きやすくなります。
・洋服ではなく小物
・スキンケアやコスメなどの美容アイテムひとつ
・美容室では、ヘッドスパやトリートメントなどのオプションを追加
など、プチ贅沢に使うのがおすすめ
買うのは1アイテムだけにする
”複数買い”が一番後悔につながりやすいので、最初から『ひとつだけ』と決めておくと冷静に選べます。ひとつだけだと『本当に好きか?』『満足度は高いか?』と時間をかけて選ぶようにもなります。
買いたい欲が強い日は”お気に入りリスト”に入れるだけに
脳は”買う”よりも”選ぶ”ことで満足する事も多いもの。一度リストに入れるだけで満たされ、数日後には『やっぱり要らなかった』と感じる事もあります。リストを眺めながらじっくり選ぶのも楽しいひとときです。
冬は”未来の楽しみ”を仕込む季節にする
冬はどうしても気持ちが内向きになり、衝動買いが増えやすい季節です。でも、見方を変えると、”未来の楽しみ”をじっくり育てるには、実はとても向いている季節でもあります。外に出る機会が減るぶん、自分と向き合う時間が自然と増えます。その時間を、買い物の代わりに『これから先の自分を楽しませる計画』に使ってあげると、さらに充実度が増します。
衝動買いの原因は、『今すぐ気分を変えたい』という脳の働きですが、未来の楽しみを準備すると、”まだ手に入れていないのに、すでに心が満たされる”という不思議な効果が生まれます。
春の小旅行を計画する

・行きたい場所のリストを作る
・ホテルや電車の候補を決める
・美味しいお店をピックアップする
どこへ行こうか、何を食べようか、誰と行こうか・・計画を立てる時間そのものが、気持ちを軽くしてくれます。
来年の『やりたいことノート』をつくる
この時期に10個でも3個でもOK。書くことで頭の中が整理され、心が未来に向いていきます。
・旅行に行く
・歌舞伎を見に行く
・副業を頑張る
・ピアノを始める
何でもいいので、来年のお楽しみリストを作りましょう。
自宅でできる趣味の時間をつくる

読書・ヨガ・ハンドメイドなど、『お金を使わなくても満たされる方法』を冬の間に育てておくのも大切です。
予定や計画には、
・脳を前向きにする
・寂しさや疲れを和らげる
・気分を即座に変える
という働きがあります。これはまさに、買い物が与えてくれる刺激と近いもの。だからこそ、買いすぎてしまいそうな冬は、”未来の楽しみ”をひとつでも仕込んでおくことが、とても効果的なのです。衝動買いに流されそうな気持ちを、『楽しみの準備』という形で優しく受け止めてあげる。それだけで冬の過ごし方が大きく変わります。
冬のひとり時間におすすめの『お金の整え方』
お金のことを少し整えてみる、という選択も実は冬向き。寒さが深まると、外へ出るのが億劫になりがち。そんな季節は、気持ちも行動も『ゆっくりモード』になりますよね。そんな時こそ、家の中でできる”軽めの整理”が心にフィットします。お金を整えるプチ作業は、実は相性の良いテーマ。大きく動かなくていいし、頑張りすぎなくていい。ただ、今の自分を見つめるだけで、春に向けての安心感が育ちます。
今年の収支をざっくり振り返る
年末になると、1年のお金の動きを振り返るタイミングがやってきます。本当は家計簿を綺麗に仕上げて、細かくまとめられたらベスト。でも、忙しい50代にとってそれはハードルが高い事もありますよね。そこでまずは、ざっくりで良いから全体像をつかむことを目標にしましょう。見るポイントはたったの3つだけ。
1.赤字になっていないか(これが大前提)
細かい出費は追わなくても、今年一年、終始の範囲で生活できていたかどうかだけは確認しておきたいところ。もしギリギリだった場合も、責める必要はありません。『どの月が苦しかった?』『何が負担だった?』と原因を知るだけで、来年の対策につながります。年間どれだけ手元にお金を残せたかを把握することが大事です。
2.どれくらい”未来のため”に回せたのか(投資・貯蓄)
ここが最も大事な視点。50代以降は、未来のお金をどう積み上げていくかです。NISA・iDeco・高配当株・現金など、年間で”いくら未来に送れたか”をざっくり確認。金額に関係なく、『今年もちゃんと自分の未来にお金を回せた』と実感できれば十分です。
3.”満足に使えたお金”はどれくらいあった?

ここを振り返ることが、とても大事です。お金は”楽しみ”や”嬉しさ”のためにも使うもの。
・旅行
・好きな趣味
・子や孫へのプレゼント
・美容や健康のための投資
こうした項目にどのくらい使えたかを見ると、『今年もちゃんと自分を大切にできた』という手応えにつながります。黒字でも、満足に使えた実感がないと心は豊かになりにくいので、むしろこの項目はお金の使い方の満足度を高めるうえで欠かせません。
ざっくり振り返るだけでも、”来年のお金の流れ”が見えてくる
一年の収支を軽く見返すだけで、来年の方向性が自然に見えてきます。
・もう少し趣味に使っても大丈夫?
・投資を増やせそう?
・支出の癖はどこにある?
・満足度の低いことに使いすぎてしまった?
難しい作業をしなくても、自分のお金との距離感がわかり、暮らしが整っていくのがこの振り返りの良さ。
50代こそライフプラン表を作るべき理由

50代になると、仕事・家庭・健康・お金・・あらゆるテーマが一度に押し寄せてきます。心の中では『そろそろ将来のことも考えなきゃ』と思いながら、毎日の忙しさに追われ、気づけばなんとなくで過ぎてしまう一年も少なくありません。
そんな時期だからこそ、ライフプランを一度作ってみることには大きな意味があります。といっても、家計のあらゆる数字を正確に出して、10年分の計画をかっちりつくる必要はありません。むしろ、最初の一年は”ざっくり”で十分です。一年の予算を立て一年後に答え合わせするとライフプラン表の重要性が見えてくると思います。
50代にライフプランが必要なのは、これから迎える60代・70代の暮らしが、『今日の選択』で大きく変わる時期だからです。働き方をどうするか、何歳まで働くか、いくら積み立てておくと安心か、どんな楽しみにお金を使いたいか・・。これを漠然と考えるのではなく、紙に『見える化』するだけで、”安心”が生まれます。
ライフプランを作るメリットは、未来の現実を”前もって見ておける”ことにあります。そして見えたからこそ、『もう少し支出を見直していかないと』『投資をあと1万円だけ増やしてみよう』『旅行はもう少し予算が出そう』『来年は家電の買い替えが多くなりそう』そんなふうに、自分らしい暮らしが主体的に整っていきます。
きっちりやることに越したことはありませんが、なかなかハードルの高いことです。一年分の支出を出すだけでも大変な作業なのに・・となります。そこでおすすめなのが、支出は少し多めに見積もるという方法。予期せぬ出費は誰にでもあるもので、慌てずに済みます。私は最初一年の収支を計算し、自分の予想とかなりかけ離れた現実を知りました。そこから、きちんとライフプランと予算を決めて管理するようにしました。普段の生活費はマネーフォワードで管理し、月に5万円くらいを特別費(車の車検代や家電の買い替え費用や旅行など)として別に管理しています。
まとめ
ボーナスの季節は、クリスマスやセールの雰囲気に背中を押され、つい買いすぎてしまう時期でもあります。でも、衝動買いを完全にゼロにする必要はありません。大事なのは、『欲しい』ではなく『使ってよかった』と思える選択に近づけること。そのために、①心が疲れているときは欲が強まりやすいことを知る②あらかじめ”1万円以内の衝動買いOK”などのマイルールを決めておく③来年の楽しみ(旅行・イベント)にお金を先送りすると意識するだけで、満足度が大きく変わります。
年末の誘惑は強いけれど、自分の未来や気持ちをちょっとだけ優先して選ぶことで、『買って後悔』ではなく『使ってよかった』に変わります。今年のボーナスは、ぜひあなたが本当に大切にしたいことへ。衝動に振り回されず、自分の心と仲良く付き合いながら、満足度の高い冬を過ごしてくださいね。
最後までお読みくださりありがとうございました。