片付けられないのは性格じゃない!!脳のクセを知れば上手くいく

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『どうして私は片付けが苦手なんだろう・・』そんなふうに自分を責めた経験はありませんか?家の中が散らかるたびに『性格の問題』『私がズボラだから』と考えてしまい、自己嫌悪に陥る人は少なくありません。実は、片付けがうまくいかない原因は”性格”ではなく、脳の仕組みやクセに隠されていることが多いのです。たとえば、ものを見ただけで頭がいっぱいになって動けなくなるのは『ワーキングメモリ(作業記憶)』の容量が影響しているサインかも知れません。

また、『片付けたいのに片付けられない』という矛盾した感情に悩むのも、脳が抱える”パラドックス”による自然な反応なのです。つまり、片付けられないのは意志の弱さやだらしなさではなく、『脳のくせを知らないまま頑張っているから』うまくいかないだけ。逆に言えば、脳の働きを理解し、そのクセに合わせた方法を取り入れれば、誰でもスムーズに片付けを進められるようになります。本記事では、『性格ではなく脳のくせが片付けにどう影響するのか』をわかりやすく解説し、具体的にどんな工夫をすれば片付けがグッと楽になるのかを探っていきます。自分を責める前に、まずは脳の仕組みを知ることから始めてみませんか?

選択のパラドックス——選択肢が多いと片付けられない

『この服、まだ着るかも・・』『この書類、捨てて大丈夫かな・・』片付けを始めたのに、気づけば手が止まってしまう。そんな経験はありませんか?実はその背景に『選択のパラドックス』という心理的な現象が関わっています。選択のパラドックス』とは、選択肢が多ければ多いほど、私たちは自由になるどころか逆に決断できなくなるという心の仕組みです

たとえば、スーパーでジャムが2種類だけ並んでいれば、どちらかを選んでスムーズに購入できます。しかし20種類並んでいたらどうでしょう。『本当にこれでいいのかな?』『他の方が美味しいかも知れない』と迷いが増え、選ぶのに時間がかかるどころか、結局買わずに帰ってしまう人も少なくありません。片付けも同じです。服の山を前に『残す』『手放す』の2択だけのはずなのに、実際には『まだ着られる』『高かったからもったいない』『サイズが合わないけど思い出がある』など、選択肢がどんどん枝分かれしていきます。その結果、脳は情報を処理しきれなくなり、『決められないからとりあえず保留にしよう』と先延ばししてしまうのです

さらに選択肢が多いと、選んだ後にも『他の方が良かったかも』という後悔や不安がつきまといます。これが片付けの手を止める最大の要因。『選んで手放したけど、本当に正しかったのか』と考えすぎて疲れてしまう。だからこそ、片付けは”量を減らして選択肢を絞る工夫”がとても大切になります。具体的には、『今日はこの引き出しだけ』『今日はトップスだけ』と範囲を狭めて取り組むこと。そして判断基準をシンプルにすることです。『ついつい手にしてしまう』『1年以内に使ったかどうか』など、あらかじめ”選択のルール”を決めてしまうと、余計な迷いを減らせます。片付けが苦手な人は『私の性格のせい』と思い込みがちですが、実は脳が『選択のパラドックス』によって負荷を感じているだけ。選択肢を減らす仕組みをつくれば、驚くほどスムーズに片付けが進むようになります。

目次

ワーキングメモリ——脳の作業机がいっぱいになると片付けられない

片付けをしている時に『これをどこに置こう』『あっちも整理しなきゃ』『ついでにあの引き出しも・・』と、頭の中がぐるぐるして混乱した経験はありませんか?それは決して気のせいでなく、脳の仕組みによるものです。そのカギとなるのが『ワーキングメモリ』という考え方です。

ワーキングメモリとは、簡単に言えば『脳の作業机』のようなもの。情報を一時的において処理するスペースのことです。机が広ければ本やノートをたくさん広げて作業できますが、狭ければ2、3冊置いただけでいっぱいになってしまいます。私たちの脳も同じで、ワーキングメモリには人それぞれ容量の差があり、同時に扱える情報量には限界があるのです。片付けは、この『脳の机』をフル稼働させる作業です。目の前のモノを見て『使う/使わない』を判断するだけでなく、『思い出』『値段』『使う場面』『収納場所』といった情報を同時に考えています。

さらに『床に置かない方がいい』『あの棚に空きがあるかも』と、周囲の状況も並行して処理しています。つまり、片付けは脳の机にいくつものファイルを一気に広げている状態なのです。問題は、この机がすぐいっぱいになること。情報を抱えきれなくなると、脳は混乱して『とりあえずあとで考えよう』と判断を先送りしてしまいます。その結果、片付けが進まない、疲れて途中で辞めてしまう、といった現象が起こるのです。

では、どうすればいいのでしょうか?ポイントは『机の上をスッキリさせる工夫』です。具体的には、

一度に取り組む範囲を小さくする(机の上に置くファイルを減らすイメージ)

判断基準をあらかじめ決めておく(迷う余地を減らすことで机の負担を減らす)

メモやチェックリストを使い、脳に覚えさせず紙に移す(机のスペースを空ける)

こうした工夫を取り入れると、ワーキングメモリに余裕ができ、スムーズに判断できるようになります。つまり『片付けられない=性格の問題』ではなく、『脳の机がいっぱいになっているだけ』なのです。机を片付けるコツを知っていれば、誰でも少しずつ整理上手に近づけます。

50代女性が『片付けられない』のは、モノの多さだけが原因じゃない

ここまで『選択のパラドックス』や『ワーキングメモリ』という脳の仕組みを見てきました。では、なぜ特に50代の女性に”片付けのつまづき”が多いのでしょうか。それはモノが多いからでも、性格がだらしないからでもありません。理由はもっと深く、私たちの人生の積み重ね方や心の状態に関係しているのです。

1.人生の『積み重ね』が、選択を複雑にする

50代まで生きてくると、家の中には”ただのモノ”ではないモノが増えていきます。子供が小さかった頃の絵や作品、家族旅行のお土産、昔のアルバム。仕事で使っていた資料やスーツ。親から譲り受けた食器や家具、亡き人の形見。どれも『思い出』や『努力の証』とつながっていて、捨てることが”裏切り”のように感じることがあります。若い頃なら『もう使わないし捨てよう』と簡単に決断できたのに、今はそうはいかない。選ぶたびに『これを手放すことは、自分の人生を否定するようで怖い』と感じてしまうのです。これが選択のパラドックスを強める要因。モノの量よりも、『モノに込められた感情の多さ』が、決断を難しくしているのです。そして感情が複雑になるほど、脳は判断を先送りしやすくなります。『また今度』や『時間があるときに』と言いながら、実は”心の整理”が追いついていない。そんな優しい人ほど、片付けが進まないのです。

2.ワーキングメモリは『減る』のではなく『埋まっている』

『最近忘れっぽくなった』『集中力が続かない』・・そう感じるのも無理はありません。50代の女性たちは、人生で最も”考えることが多い時期”を生きています。仕事、人間関係、家族のこと。子供の独立や結婚、親の介護、そして自分の老後や健康の不安まで・・。脳の中には同時進行の”考え事”がぎっしり詰まっています。ワーキングメモリ(脳の作業机)でいえば、常に資料が山積みの状態。空きスペースがないまま、『片付け』という新しい案件を広げようとしても、手が回らなくて当然です。

つまり脳の働きが衰えたのではなく、『机が埋まっているだけ』。これを知れただけでも心が軽くなりませんか?片付けを進めるには、まず”脳の机”に空きを作ることが大切です。一気に片付けようとせず、『今日は引き出しひとつだけ』『今日はここの洋服だけ』と範囲を決める。判断基準も『今も使っているか』『ついつい手に取ってしまうか』など、シンプルにする。これだけで、脳の負担はぐっと減ります。

3.『心の整理』と『モノの整理』はセットで進む

50代というのは”人生の見直し期”とも言えます。子供が巣立ち、夫婦関係や仕事との向き合い方が変わり、『これからの自分』を考える時間が増える。そんな時期だからこそ、片付けが『モノの整理』だけでなく、『生き方の整理』にもつながっていきます。今の自分に必要なモノを選び取るということは、『これからの自分に必要な考え方』や『大切にしたい時間』を選ぶことでもあります。たとえば、

・若い頃の服を手放して、”今の自分に似合う服”を残す

・書類や資料を整理して、”これから学びたいこと”に焦点を当てる

・思い出の品を厳選して、”心が温まるモノ”だけを飾る

これらはすべて、『未来に視点を向ける行為』です。モノを減らすことが目的ではなく、”これからどんな空間で、どんな気持ちで生きていきたいか”を見つめ直すこと。それが、50代の片付けの本当の意味なのです。

4.片付けは、自分を責める時間ではなく、いたわる時間

片付けが進まないと、つい『私はダメだな』『性格の問題だ』と思いがちですが、本当はあなたの脳がフル回転して頑張っている証拠です。人生で抱えてきた想いが多いからこそ、モノに優しくなってしまう。でも、その優しさは”弱さ”ではなく”豊かさ”です。だから、焦らなくて大丈夫。1日5分でも、『脳にやさしい片付け』を続けていけば、少しずつばがれが変わります。脳のクセを知って、自分を責めるのをやめたとき、片付けは”頑張る作業”から、”自分を変える習慣”に変わっていきます。

片付けは『これからの自分』と出会う時間

SNSでは、きれいに整った収納やミニマルな部屋がたくさん紹介されています。けれど、片付けのゴールは『人から見て美しい部屋』ではありません。本当の目的は、『自分がほっとできる空間をつくること』。だから、完璧を目指す必要はありません。

・引き出しの中がまだごちゃごちゃしていても、床が見えるようになった

・一つの棚が整っただけでも、空気が変わった気がする

それだけで十分前に進んでいます。片付けは”小さな達成感の積み重ね”。そして、それは確実に『自己効力感(自分にはできるという感覚)』を育ててくれます。焦らず、比べず、自分のリズムでいい。『今日はここまでできた』と自分を褒めることから始めましょう。

まとめ

ここまで読んで、『片付けって意外と奥が深いな』と感じた方もいるかも知れません。でも大丈夫。片付けは”整理整頓”の技術ではなく、”これからの生き方”を考える時間でもあるのです。

50代というのは、人生の再スタートの時期でもあります。子供が巣立ち、仕事との向き合い方も変わり、家族や人間関係も少しずつ変化していく。そんな中での片付けは、過去を手放す作業ではなく、これからを生きやすくするための選び直しです。思い出の品を残すのも手放すのもどちらも正解。大事なのは『今の自分がどう感じるか』。『これはもう十分役目を終えたな』と思えたら、感謝して手放す。『見ると笑顔になれる』と感じるなら、迷わず残す。

片付けの中で私たちは何度も”今の自分の声”を聞くことになります。それはまるで人生をもう一度デザインし直すような時間。モノを通して、『私たちはどういきたいのか』に気づく・・それが、50代からの片付けの最大のギフトです。

最後までお読みくださりありがとうございます

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