健康診断は、今の自分の体を『数字』で確認できる大切な機会です。けれども、その数値が本来の状態を正しく反映していなければ、せっかくの健診も意味をなさなくなってしまいます。実は、検査結果は『当日の測定』だけで決まるわけではありません。前日の食事内容や過ごし方などちょっとしたことが意外にもデータに影響を与えるのです。本記事では、健診の精度を高めるために知っておきたい『前日までの過ごし方』について、健診で勤務してきた臨床検査技師の視点から、正しい検査結果を得るために知っておきたいポイントを交えながらお伝えします。
”前日までの過ごし方”が、検査データに影響する理由

健診で出る数値は、あなたの体の”いま”を映す大切なデータです。けれど、その結果はいつも全く同じというわけではありません。実は前日の食事やそれまでの睡眠の状態が、検査データに少し影響を与えることがあるのです。たとえば、脂っこい食事を遅くに食べた翌日は、中性脂肪や肝機能の値が高く出ることがあります。また寝不足の状態が続いていると、ホルモンバランスが乱れて血糖値や血圧が上がりやすくなります。さらに緊張やストレスがあると、血圧や心拍数が高めに出ることもあります。これらは”異常値”となりますが、その日の体調が反映された結果です。だからこそ『数値が悪かった』と落ち込むよりも、『前日はどんな過ごし方をしていたかな?』と振り返ることが大切。健診の結果を正しく受け取るためには、いつもの自分のリズムで、穏やかな状態で臨むことが一番です。
前日までの準備が大事!—知っておきたいポイント
健診は、前日までの過ごし方こそが『正確なデータ』を左右する重要な要素です。正確な検査をスムーズに受けていただくために、食事や水分、服装、服薬など注意点も多いのです。『これくらい大丈夫』と自己判断せず、案内文をしっかり読みましょう。前日までの小さな心がけが、あなたの健康データをより信頼できるものにします。
受診1週間前には、問診票と注意事項を必ず確認しておきましょう

健診をスムーズに受けるためには、1週間前までの準備がとても大切です。多くの健診施設では、事前に問診票や注意事項が郵送されてきます。そこには、あなたが受ける検査ごとの具体的な案内が書かれていますので、まず一度目を通して予約日と時間、健診内容に間違いがないか確認しましょう。
たとえば、血液検査のみを受ける方と、胃透視(バリウム検査)も受ける方とでは、『最終の食事時間』や『水分摂取の制限時間』が異なります。施設によっては、『血圧の薬は朝、少量の水で服用してください』といった個別の注意書きがある場合もあります。また、持病の薬を飲んでいる場合は、事前に主治医に相談しておくと安心です。
よくあるのが、『採血があるのに朝食を食べてしまった』、『21時までに食事を済ませてくださいと書かれていたのに、23時に食べた』などのケース。こうした小さな間違いが、検査データに影響を与えたり、検査が受けられなくなってしまうことがあります。そもそも健診日を忘れている方も一定数いるので、予約をしたらカレンダーアプリに登録しておくことをおすすめします。
さらに、胸のレントゲンや胃透視を受ける方は、服装にも注意が必要です。検診当日、絵柄付きや刺繍入りのTシャツ、金具・プラスチック付きの下着、ボタン付きのシャツなどは、検査に影響があります。また、湿布やカイロ、ネックレスなどもNGです。何も付いていないブラトップや無地のTシャツなど、金属や装飾のない服を事前に準備しておくと安心です。
さらに、腹部の手術歴がある方で、初めて胃透視を受ける場合には、主治医の許可が必要なこともあります。近年は、血糖測定用センサー(リブレなど)を装着している方も増えていますが、検査の種類によっては外してもらう場合があります。わからない点や不安なことがあれば、健診施設に電話して事前に確認しておきましょう。『当日になって検査が受けられなかった・・』ということにならないよう、1週間前の段階で内容を確認しておくことが大事です。
当日、意外と多い”やってしまいがち”なこと

せっかく事前準備を整えていても、当日のちょっとした油断で検査がスムーズに進まなかったり、正確な結果が出にくくなることがあります。たとえば、無意識にコーヒーを飲んでしまったり、お弁当を作っていてちょっと味見をしたり、薬を飲み忘れたりなど。どれも『うっかり』で済ませがちなことですが、検査によっては実施できなくなる場合もあります。当日の朝は慌てず、送付書類やメモを再確認しながら、身支度や行動を整えていきましょう。目の検査(眼底カメラや眼圧)がある場合、コンタクトレンズの方は外してもらうことがあるので、ケースや予備のコンタクトレンズを準備しておくと安心です。また、健診施設によってはドック着の貸出がない場合もあります。その時は、ワンピースやタイトな服、上下が分かれていない服だと検査がうまく進まないことや恥ずかしい思いをすることがあります。できれば上下分かれたゆったりした服装で行くか、着替えを用意しておくとスムーズです。
食事を食べてくるとできない検査には、胃カメラ・胃透視・腹部エコーなどがあります。
食事を食べてくると影響のある検査は、血液検査(血糖、中性脂肪など)
脱水を防ぎ、血液を取りやすくするためにも、採血だけなら水分はしっかり摂りましょう(水やお茶)。
胸部レントゲンや胃透視では、湿布、ピップエレキバン、ネックレスなどは外してもらっています。金具やプラスチックのついた下着、絵柄付きや刺繍入りのTシャツなども映り込みの可能性があるため不可となっています。当日は無地のTシャツや金具のないインナーを着用するとスムーズです。
健診の流れを知る
健診を前にして『何をするのかよくわからない』『どんな順番で進むの?』という不安を感じる方は少なくありません。実際、検査内容や流れを把握しておくことで、当日の戸惑いや緊張を減らすことができます。
一般的な検診では、まず受付後に問診の確認、身体計測(身長、体重、血圧など)、視力・聴力、採血、尿検査、胸部レントゲン、心電図、そして医師の診察と続きます。人間ドックやオプション検査がある場合は、胃透視や胃カメラ、腹部エコー、婦人科検診、マンモグラフィなどの検査が加わります。施設によって順番や所要時間に違いはありますが、あらかじめ流れを知っておくと、自分の体調管理や当日のスケジュールが立てやすくなります。『何をするか』を知ることは、正確な検査を受けるための第一歩です。
健診日を決め予約する
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カレンダーアプリに健診日を入れておき、通知設定しておく
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問診票送られてきたら、内容を確認しざっと目を通しておく
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1週間前にやることを確認
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前日までにやることを確認
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当日朝気をつけることを確認
1.食事と水分

夕食は早めに済ませましょう。水分摂取については受ける検査項目によって、水分摂取の制限時間が異なります。必ず確認しておきましょう。アルコールは控えめに。
2.服装

・金具、刺繍、ボタン、プリント入りのTシャツはNG
・湿布、ピップエレキバン、ネックレスは事前に外しておきましょう
・金具やプラスチックのないブラジャーやブラトップを選ぶ
・ヒートテックが駄目な検査もあるので確認を
・ジェルネイルが駄目な検査があるので確認を
3.検査と持病、装着機器
・糖尿病治療中などでリブレ(血糖測定センサー)を使用している方は、検査によって一時的に外す必要がある場合があります。
・消化器系の手術を受けた方の初回胃透視は、主治医の許可が必要な場合があります。事前に確認しておくと安心です。
4.女性特有の注意点
・生理中の検尿は、血液混入によって正しい判定ができません。日程をずらすか、後日再検査するのが安心です。
・子宮がん検査の前日は性交渉を控えましょう
前日チェックリスト
正確なデータのために、前日は”整える日”に。
明日慌てないための、前日ルーティンをチェックしておきましょう。
1.🍽️ 食事・水分
夕食は21時までに済ませた
脂っこい・甘い・アルコールは控えた
胃透視や胃カメラがある場合水分制限を確認した
2.👚 服装など
金具や刺繍、プリントのある下着やTシャツは避けた
翌日の服は検査がしやすいものを用意した(上下分かれてるゆったりした服装がスムーズ)
3.💊 検査
服薬・持病・装着機器について案内文を確認した
生理中・体調不良の場合の対応を確認した
不明点は施設に電話で遠い合わせた
4.📱 忘れ物チェック
受診券・保険証・問診票を入れた
アクセサリーは外しておく
健診時間の最終確認した
5.🌙 体を整える
早めに入浴してリラックスした
睡眠をしっかりとるよう心がけた
『明日は自分の体を見つめる日』と気持ちを整えた
まとめ

健診は、体の今を確認し、これからの暮らしを整えるためのもの。一方で、がん検診は”見つけるため”の検査です。がん検診の結果が”要精密”となれば怖いと感じるのは自然なことです。がん検診も引っ掛けることが前提で拾い上げているので、もう少し詳しく検査してみましょうということがほとんどです。もし、病気がそこにあったとしても、早く気づくことができれば、治療の選択肢も、人生の時間も、守れるものが増えるのです。『放置しておくこと』こそが最大のリスクなのです。結果を恐れず、必要な検査やフォローを受けることが、未来への一歩につながります。
そして忘れないで欲しいのは、『健康は、これからの人生を楽しむための土台』だということ。美味しいものを食べたり、旅行したり、大切な人と笑い合ったり。そんな時間を心から味わうために、いま自分の体を知ることは何よりも大切なことです。今日からの暮らし方を少しずつ整えていくことで、あなたのこれからの人生は、もっと軽やかに、もっと自由に広がっていくはずです。
最後までお読みくださりありがとうございました
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